発熱について
発熱は、体が感染症やケガ、炎症に対する防御反応として起こるものです。発熱の原因はさまざまですが、発熱の持続時間や子どもの年齢によって、考えられる原因は異なります。発熱が14日以内の場合を「急性」、それ以上続く場合を「慢性」と呼びます。通常、発熱は急性であることが多いです。
◾️急性の発熱
乳児や小児の急性発熱は、ほとんどの場合感染症が原因です。
急性発熱の主な原因としては、風邪やインフルエンザといったウイルスによる呼吸器の感染が挙げられます。また、胃腸炎などの消化器系の感染症も発熱の要因となります。さらに、中耳炎や副鼻腔炎、肺炎、尿路感染といった細菌感染も急性発熱を引き起こす原因となることがあります。
特に新生児や小さな乳児は、免疫機能が未発達なため、重い感染症にかかるリスクが高くなります。
◾️慢性的な発熱
慢性的な発熱は、長引くウイルス感染や、続けて感染が起こること(特に幼児に多い)が原因です。また、感染症だけでなく、非感染性の病気によっても慢性的な発熱が引き起こされることがあります。
発熱時に注意すべき症状
以下の症状が見られた場合は、すぐに医療機関へ相談しましょう。
・ 生後3カ月未満の赤ちゃんに発熱がある場合
・ 眠気が強く、ぼんやりしている
・ ぐったりしている、または重症に見える
・ 息苦しそうである
・ 皮膚に赤紫色の斑点や出血が見られる
・ 赤ちゃんが長時間泣き止まない
・ 年長の子どもで頭痛や首のこわばり、混乱がある場合
受診の目安について
発熱した子どもが上記のような危険な兆候がある場合や、生後3カ月未満の場合は、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。3カ月から3歳までの子どもで、これらの兆候が見られない場合でも、体温が39℃以上、または風邪の症状がなく、発熱が5日以上続く場合には、診察を受けるべきです。3歳以上の子どもでは、5日以上の発熱がある場合には受診を検討する必要があります。
発熱の検査
生後3カ月から3歳の小児の場合、発熱の原因が明確で、子どもが元気そうであれば、検査を必要としないこともあります。しかし、特定の感染症が疑われる場合には、それに応じた検査が行われます。症状が重い場合や、重い細菌感染が疑われる場合には、血液検査や尿検査が行われ、必要に応じて腰椎穿刺も実施されます。
3歳以上の小児の場合では、発熱の原因がわからない場合や、重い病気が疑われる症状が見られる場合を除き、検査は通常行われません。
発熱の治療について
発熱は、原因となっている病気を治療することで自然に解消します。発熱以外に特に問題がない場合は、必ずしも治療は必要ありませんが、解熱薬を使うことで子どもの体調が楽になることもあります。
解熱薬は感染した病気自体を治療するものではありませんが、慢性疾患を持つ子どもや、過去に発熱でけいれんを起こしたことがある場合には、発熱による体の負担を軽減するために使用が推奨されることがあります。一般的に使用される解熱薬には、アセトアミノフェン(飲み薬や坐薬)やイブプロフェン(飲み薬)があります。これらの薬を使用することで、発熱による不快感を和らげる効果が期待できます。