HOME > めまいセンター学会発表報告(第83回 日本めまい平衡医学会 総会・学術講演会) : 2024.12.14

めまいセンター学会発表報告(第83回 日本めまい平衡医学会 総会・学術講演会)

2024年11月13日から15日に愛知県名古屋市で開催された「第83回 日本めまい平衡医学会 総会・学術講演会」に当院の医師1名、言語聴覚士2名が口述発表、ポスター発表を行いました。

 

1. めまいセンター1年間の診療報告~めまい診療に携わる言語聴覚士の立場も含めて~

藤井 礼華、広兼 大地、川村 美穂、小坂 範樹、宇髙 毅、工田 昌也

 当院では、2023年4月に工田昌也医師をセンター長にめまいセンターを開設しました。開設から1年が経過したため、診療報告と言語聴覚士(以下ST)が聴覚・平衡機能検査や診療補助を行う意義・メリットについて考察しました。

 2023年度めまいセンター診療報告に関しましては、こちら(福山市の耳鼻科、ちくのう・中耳炎治療。ちくのう・中耳炎の手術なら福山の耳鼻科、堀病院。 | 堀病院めまいセンター開設初年度(2023年度)1年間の診療報告)をご覧ください

めまい診療におけるSTの関与について、日本言語聴覚士協会が発表している、STの雇用施設と人数の内訳は下記のようになっており、聴覚分野で勤務するSTは全体の約5%と少ないです。その中でも平衡機能に携わっているSTはさらに少ないと考えられ、領域の未発展さがうかがえます。

当院のSTは3つの柱を中心に勤務を行っております。1つ目は聴覚に関する内容、2つ目は平衡機能に関する内容です。どちらもSTの専門領域ですので、正確な検査が可能です。3つ目は検査以外の業務です。STとして、各種リハビリテーションや補聴器業務にも携わることが可能です。また、めまいセンター診療日には、クラーク業務や診療補助もSTが行っております。聴力・平衡機能に精通するSTだからこそ診療場面でも活躍できると当院では考えております。

ただ、めまい診療におけるSTの関与は少ないのが現状です。問題点と原因、解決策について考えました。

現状の問題点

原因

解決策

雇用の少なさ

他職種と比較し、「STは出来ることが少ないのでは」と思われている。

領域で勤務するSTが活躍し、有用性を広めていく

知識量の乏しさ

未熟な検査手技

教育課程の不十分さ(平衡機能検査に触れたことがない人もSTの中にいる)

平衡機能検査技術講習会への参加、医師からの教育

興味を持たないSTが多い

ST=嚥下リハのイメージが強い。

領域で活躍しているSTが少ない。

まずは領域で勤務するSTを増やすこと

今後の展望として、発声発語・嚥下・高次脳機能障害の分野だけでなく、聴覚・平衡機能分野でのSTのさらなる活躍を願います。そのためには、まずは我々が日々できることを行っていきます。

 

2. 両眼同時記録ETT、OKNによるPPPD患者と心因性めまい患者の比較検討

医療法人 徹慈会 堀病院めまいセンター

工田昌也、藤井礼華、廣兼大地、小坂範樹、川村美穂、宇高 毅

持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)は3か月以上持続する浮遊感,不安定感,非回転性めまいを主訴とし、症状は立位姿勢、体動,動くものや複雑な視覚パターンを見た時に増悪し、何らかの平衡障害に続発する。PPPDの診断は診断基準に基づき、心理テストなどを参考に行われるが、特徴的な平衡機能検査所見あるいは脳画像検査所見は少なく、心因性めまいとの鑑別は困難である。今回、我々は、両眼同時記録が可能なVisualEyes 3.0 (Interacoustics)を用いたETT、OKNの所見からPPPDと心因性めまいの鑑別が可能かどうか検討した。

対象は2023年4月から2024年3月までの1年間に堀病院めまいセンターを受診したPPPD患者56名、年齢53.5±14.6歳。心因性めまい患者28名、年齢50.4±14.3歳、対照としてBPPV、メニエール病患者18名、年齢48.5±15.3歳であった。

 その結果、PPPDと心因性めまいの間に有意差を認めた項目は、ETTでは左右眼のgainの差がPPPD>心因性めまい=対照で、SymmetryがPPPD>心因性めまい=対照。OKNでは20°/secでの左右のgainの差がPPPD>心因性めまい=対照、であった。これらの結果は、両眼同時記録によるETT、OKNの所見がPPPDの診断に有用であるともに、今後の病態解明の一助になると考えられた。

 

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