突発性難聴に対する高気圧酸素治療

 

突発性難聴とは?

①突然に発症する ②原因不明の ③音がほとんど聞こえない状態、という3つの特徴を持つ症状です。今まで何の耳の病気にもかかったことがない人が、明らかな原因もなく、突然片側の耳が聞こえにくくなる病気です。原因は、今の所よくわかっていません。しかし、最近の研究では聴こえの神経への血流障害やウイルスによる障害が考えられています。症状としては、次のようなものがあります。

  • 突然聞こえが悪くなる
  • 急に耳がふさがったようになる(水が入った感じ、膜が張ったような感じ)
  • 自分の声が耳に響く
  • 耳鳴り
  • めまい、吐き気

高気圧酸素治療とは?

高気圧酸素治療は高気圧酸素療法装置というカプセル型の装置に入っていただき行う治療です。
高気圧酸素療法装置で装置内の気圧を2気圧(水深10mと同じぐらいの気圧)まであげた状態で、純度の高い酸素を吸入し、体内の酸素濃度を上昇させます。気圧を上げた状態で純度の高い酸素を吸入することで、より効率的に血液内の酸素濃度が高まり、酸素のいきわたりにくい細い血管などの低酸素状態を改善します。高気圧酸素治療で体内に取り込まれる酸素は、通常の約15倍-20倍と言われています。

 

なぜ突発性難聴の治療で高気圧酸素治療が有効なのか?

耳の奥の内耳という部分にはコルチ器という音を感じる細胞が存在しています。コルチ器は代謝が早く、非常に多くの酸素を必要するのですが、酸素を届けるための血流が少ない部位でもあります。突発性難聴の原因の1つとして、このコルチ器が酸素不足になり、音が感じづらくなると考えられています。
高気圧酸素治療では酸素不足になったコルチ器に充分な酸素を供給することで、突発性難聴の症状を改善させる効果があると考えられています。

 

当院での高気圧酸素治療の新規導入及び実施件数

過去2020年〜2023年の新規導入件数と実施件数です。

突発性難聴に対する高気圧酸素治療の流れ

突発性難聴の治療では、まずは外来を受診していただき聴力検査などで症状の診断を行います。
通常、突発性難聴の治療では服薬や点滴による治療を行いますが、発症からの期間や症状に応じて高気圧酸素治療を行う場合もあります。


突発性難聴は治療によって回復が期待できる数少ない難聴のひとつです。発症後約一か月で聴こえは固定してしまう場合が多いので、出来るだけ早く治療を開始することが重要です。
1回の治療はおおよそ90分程度です。15分かけて気圧を所定の値まで上げていき、60分間その状態を維持します。その後通常の気圧まで15分かけて下げていきます。

装置内では手足を自由に動かすことが可能ですので、リラックスして治療を受けることができます。外のスタッフと会話や、音楽・TV鑑賞などもできます。

また、タンクに入り始めて3~5分くらい経つと、耳がつまってきて痛くなることがあります。飛行機に乗った時や新幹線でトンネルに入った時と同じような感じです。その場合は、耳抜きをしていただきます。

~耳抜きの方法~


 次の動作を繰り返しやってみてください。
  ①鼻でつまんで唾液または水を飲みこむ。
  ②鼻を指でつまみ、口を閉じ、目を閉じ、鼻をかむように力む。
  ③耳を引っ張りながらあくびをする動作をする。
  ※唾液の出にくい方は少しの水を飲みながら治療を受けることもできます。

 

高気圧酸素治療を行う際の注意点

高気圧酸素治療中はカプセル内の酸素濃度が非常に高い状態であるため、物が非常に燃えやすくなります。そのため、以下のようなものの持ち込みは禁止です。
<持ち込み禁止物の例>
・燃えやすいもの:マッチ、ライター、カイロ
・機械類:携帯電話、携帯ゲーム機、腕時計、補聴器など
・アクセサリー類:指輪、ピアス、ネックレスなど
・その他:コンタクトレンズ、

※高気圧酸素治療をご希望の患者様へ※

当院には大阪や神戸などの関西地方や九州地方などの遠方から治療に来られる患者様もおられます。治療をご希望の方はまずは当院まで(TEL 084-926-3387)お電話ください。

 

 

高気圧酸素治療のよくあるご質問


Q:高気圧酸素治療にかかる費用はいくらぐらいですか?
A:突発性難聴に対する高気圧酸素治療は保険適用となります。
   1回あたりの費用は1回9,000円程度(3割負担の場合)となります。
  その他に再診料や薬をお出しする場合は処方箋料などが必要となります。


Q:高気圧酸素治療は何回ぐらい受ければいいですか?
A:突発性難聴に対する高気圧酸素治療の回数は目安として10回~30回程度で、症状に合わせて
       医師が回数を決定します。


Q:酸素カプセルと高気圧酸素治療は何が違うのですか?
A:一番の違いは気圧の違いで、酸素カプセルは1.3気圧程度までしか上昇しませんが、
       高気圧酸素療法装置では2.8気圧まで上昇させることが可能です。
      また高気圧酸素療法装置は厚生労働省の認可を受けた医療機器です。


Q:突発性難聴の治療以外での受診は可能か?
A:高気圧酸素治療は現在、突発性難聴だけでなく脳梗塞など15の疾患が保険適用の
       対象となっていますが、当院では突発性難聴以外の専門的な診察が難しいため、
       突発性難聴の治療のみを行っております。何卒ご了承ください。

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