<コラム10>「危ないめまい」、「危なくないめまい」

めまいがひどくて、嘔吐もする。すぐに救急車?

危ないめまい」とは、命に対する危険性のあるめまいを指します。主に中枢性疾患(脳の中心部分の病気)である脳幹や小脳の異常が原因となります。中枢性めまいは、脳血管障害や脳炎、頭部外傷などが関連しています。これには将来的にも命にかかわる可能性がある脳血管障害や脳腫瘍、変性症も含まれます。中枢性めまいは、めまいが強い場合もありますが、必ずしも強いめまいが危険を意味するわけではありません。たとえば、急性な後頭蓋窩(頭の後ろ側)の急性脳血管障害ではめまいが強いですが、慢性的な脳腫瘍や変性症ではめまいが弱いこともあります。

一方で、「危なくないめまい」は、命に対する危険性のないめまいを指します。主に末梢性(内耳や内耳の神経の異常)や非前庭性(耳や脳以外)の疾患が原因です。これによるめまいは強いことが多いですが、どんなにめまいが強くても、命に対する危険性はありません。

例えば、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎などが含まれます。それではどうすれば「危ないめまい」と「危なくないめまい」を区別できるのでしょうか。区別するポイントは、以下の点です。

  • 症状の持続時間: 「危ないめまい」は長時間続くことがありますが、「危なくないめまい」は短時間で自然に治まることが多いです。
  • 伴う症状: 「危ないめまい」では、めまい以外にも頭痛や吐き気、異常な運動や感覚の変化など、他の症状が同時に現れやすいです。例えば、来院時にはめまいだけしかなかった患者さんに起こった脳梗塞例に、後に詳しく問い質してみると「そういえばめまいの1日か2日前にそのようなことがありました」と答える事があります。これに対して「危なくないめまい」は、めまいが主な症状であり、他の症状はほとんど現れません。
  • 既往症やリスクファクター: 「危ないめまい」では、脳や心臓の病気の既往がある場合や、高血圧や糖尿病の合併症、高齢者である場合には注意が必要です。「危なくないめまい」では、これらの既往症やリスクファクターがあっても、めまい自体が命に危険を及ぼすものではありません。

もしめまいが続く場合や上記の注意点に該当する場合は、専門の医療機関での診察が必要です。

 

「危ないめまい」のチェックリスト

□頭は痛くないですか?

□この2~3日間に物が二重に見えたりすることがありましたか?

□しゃべりにくかったりしたことはありませんか?

□顔がしびれる、片方の腕や足にしびれや力が入りにくいなどの異常を感じたことはありませんか?

□立っていることが出来ますか?ふらついて歩けないことはないですか?

 

これらの項目に一つでも当てはまれば「危ないめまい」の可能性があります。どんな時でも遠慮なく、めまいセンターを受診してください。

最後にめまいの原因の簡単な見方を紹介しておきます。めまいがあれば、ぜひ試してみてください。

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