<コラム1> 良性発作性頭位めまい症(BPPV)

ある朝目覚めて、起き上がれないほどのめまいを感じたら、

良性発作性頭位めまい症かも!?

 

朝、目が覚めて起き上がったときにグルグル回るめまいを感じたら、良性発作性頭位めまい症(BPPV)かもしれません。主に加齢が原因で、40代以降は要注意です。

良性発作性頭位めまい症は、起床・就寝時、寝返りなど体を起こしたり、横にしたとき,棚の上の物を取ろうとして上を向いたとき,首を何かの拍子に横に振ったりしたときに、または 洗髪をする時のように下を向いたときにめまいが起こる病気です。

多くの場合、数秒から数分でめまいは治まります。吐き気や嘔吐を伴うこともありますが、耳鳴りや難聴などは起こりません。めまいの中で最も多く、当院の統計でも約30%と最多です。

では、なぜ良性発作性頭位めまい症が起こるのでしょうか。

内耳には、耳石器(卵形嚢、球形嚢)という器官があり、そこには0.001mm大の耳石がびっしりとくっついています。なんらかの原因で、その耳石が耳石器からはがれ落ちると、隣にある三半規管(前、後、外側半規管)に入り込んでしまいます。三半規管の中はリンパ液で満たされています。耳石が大量にはがれ、三半規管の中で塊になると、頭を動かすことで、耳石が三半規管内を移動して内耳から脳へ誤った信号が送られ、めまいが引き起こされます(図)。

交通事故などで頭を強く打ったりすることでも、耳石がはがれることがありますが、この病気の原因として最も多いのは老化です。50代になると耳石器の老化が目立ってきますが、40代後半からすでに発症のリスクは高くなります。最初にこの病気が発生して、再発率は1年後に20%とされています。1回目は2~3日で治ったとしても、再発したときは老化も進んで、めまい症状も前回よりもひどくなり、治るまでの時間も長くなることがあります。いつも右向きで寝るなど、特定の向きで寝るクセのある人は、特に注意が必要です。片側の耳の中にある重量のセンサーの耳石器に常に負荷、負担がかかり、耳石がはがれやすくなるのです。治療としては、薬による治療の他に、はがれた耳石を耳石器に戻す『耳石置換法』という治療があります。はがれた耳石がどこにあるのか正しく診断して治療を行うことが肝心です。専門医の診断のもと、医療施設で治療を受けましょう。また、良性発作性頭位めまい症は予防することもできるので予防対策を紹介します。再発の防止にもなりますので実行してみてください。

 

<良性発作性頭位めまい症の予防対策>

☆再発防止のポイント

◎横向きで寝る人は、左右バランスよく

横向きが寝やすい人は、どちらか一方向に決めずに、左右バランスよく横になるようにしましょう。また、高さのある枕を使用するのもおすすめです。寝るときに上半身を少し高くすることで、耳石がはがれても三半規管内に入り込みにくくなるのです。

 

☆寝返りトレーニング 

◎良性発作性頭位めまい症を過去に診断されたことがある場合

寝たり起きたりするときに、また、めまいがしたり、横になったときにクラクラするといったような症状が起きたりしたときの改善方法です。悪い側の耳を医師から指摘されていればそちらから、指摘されていない場合はまずは右向きから行いましょう。

(1)高めの枕や厚めのタオルを頭の下に敷き、あお向けで寝たら、ゆっくり10数える。

(2)顔だけ右を向き、ゆっくり10数える。

(3)体全体で右向きになり、ゆっくり10数える。

(4)あお向けに戻り、ゆっくり10数える。左側も同様に行ったら、再びあお向けに戻る。

※(1)~(4)を3セット行う。

 

<良性発作性頭位めまい症と診断されていても、めまいが治らない場合>

☆頭をかしげてトントン

必ず左右とも行いましょう。

(1)イスに深く腰かけ、頭を右に傾けたら、右の側頭骨(耳の上あたり)を手のひらの固いところで、耳に入った水を抜くイメージで10回たたく。

(2)頭を正面に戻し、3分間休む。次に、頭を左に傾け、左の側頭骨を手のひらで、10回たたく。

※左右10回ずつ行う。

 

☆頭をかしげてジャンプ

必ず左右とも行いましょう。

(1)右側からです、壁に右手をつき、頭を右に傾けたら、プールでの耳の水抜きの要領で、片足で10回ホッピングしましょう。

(2)頭を正面に戻し、3分間休む。次に、壁に左手をつき、頭を左に傾け、同様に10回ホッピング。

※左右10回ずつ行う。 

ジャンプもトントンも無理のない範囲で行っていきましょう。

 

良性発作性頭位めまい症のチェックテスト

□ ある日突然、起きた時にめまいが起こった

□ 年齢が40代以上だ

□ 頭を上下に動かしたとき、起き上がったとき、寝たときにめまいが起こる

□ めまいは数秒から数分でおさまる

□ 聞こえが悪くなったり、耳が詰まったりした感じや耳鳴りはない

 

すべての項目にあてはまれば、良性発作性頭位めまい症かもしれません。

「めまいセンター」を一度受診してみませんか。

 

 

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