繰り返す短時間のめまいは内耳の神経痛? ~前庭性発作症かも~
前庭性発作症は、通常1秒~1分以内の短時間のめまい発作が繰り返し起こる病気です。めまい発作の頻度は様々で、1日に数十回繰り返すこともあります。めまい発作の多くは突然起こりますが,頭を左右に回転させたとき、傾けたとき、運転中、深呼吸などの誘因が存在することもあります。くるくる回転するようなめまいや、ふらふらするめまいが起こり、眼振が認められます。めまい発作中には耳鳴りや、顔面けいれん、頭痛などを伴う場合もあります。この病気が長く続くと聴力が徐々に低下することもあります。 この病気の原因は、聞こえやめまいに関係する「聴神経」が「血管に圧迫される」ことだと考えられています。
(図:前庭性発作症のMRI、右聴神経に後下小脳動脈が接している。)
この病気の割合は比較的少なく、当院でも新規患者の1.3%です。一般的に病名が認知されていないので、原因不明として見過ごされることも多いめまいです。同じような症状で、短時間のめまいを繰り返す「良性発作性頭位めまい症」と混同されることが多いため、適切な診断が必要になります。治療に際しては、通常のめまいの薬では効果が無く、カルバマゼピンなどの抗てんかん剤が有効で、それが診断の確定となります。患者さんによっては、薬を飲んだ日からめまい発作が全く起こらなくなった人もあるほどで、正しい診断が治療に結びつきます。
前庭性発作症のチェックリスト
□少なくとも5回のめまい発作があった
□めまい発作の持続時間は5分以内である
□めまいは突然に,もしくは左右に頭を回転させた時に起こる
□めまい発作の時に耳鳴り、や聴覚過敏、顔面けいれんなどを伴うことがある
最初の3つの項目に当てはまれば前庭性発作症かもしれません。
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