突然耳が聞こえなくなってめまいがする ~突発性難聴かも~

突発性難聴とは、突然、片方の耳(まれに両方の耳)で聞こえが悪くなる病気です。原因がはっきりしていない難聴の一種で、広い年齢層で発生しますが、特に40~60歳の人に多く発症します。

前日は問題なかったにもかかわらず、朝起きてテレビをつけたら音が聞こえにくいとか、電話の音が急に聞こえなくなるなど、なんの前触れもなく突然に起こることが特徴です。聞こえにくさは人によって異なり、まったく聞こえなくなる人もいれば、高音だけが聞こえなくなる人もいます。後者では、日常会話に必要な音は聞こえているため、難聴に気づくのが遅れてしまいがちです。聴力が改善したり、悪化したりを繰り返すといった症状の波はありません。また、難聴の発生と前後して、耳閉感(耳が詰まった感じ)や耳鳴り(ある程度のレベルの突発性難聴になれば必発です)、音の響き感(特定の音が響くように感じます)、めまい、吐き気などを伴うケースも多く、耳鳴りで受診したら突発性難聴だったという人もいます。難聴やめまいが起こるのは通常1度だけで、メニエール病のように繰り返すことはありません。これらの難聴以外の症状のなかでも最も問題になるのが「めまい」です。めまいが随伴しておこる割合は20~30%で、「めまい」が起こるということは、内耳の障害が重度であり、病変が蝸牛から前庭や三半規管まで広範に及んでいることを意味しています。できるだけ早期に治療をしなければ難聴や耳鳴りが後遺症として残る可能性が高くなります。突発性難聴のめまいの種類は、難聴の前または同時に起こるものは回転感(ぐるぐる回る)が多く、後に起こるめまいは動揺感(ふらつく、バランスが悪い)や浮動感(フワフワする)が多いようです。

突発性難聴が起こる仕組みですが、音を感じ取って脳に伝える役割をしている内耳にある有毛細胞が、なんらかの原因で傷つき、壊れてしまうことで起こります。有毛細胞に血液を送っている血管の血流障害や、ウイルス感染が原因であると考えられていますが、まだ明らかになっていません。ストレスや過労、睡眠不足などがあると起こりやすいことが知られています。また、糖尿病が影響しているともいわれています。

突発性難聴の診断は、難聴の起こった状況や症状を問診で確認し、色々な聴力検査や画像診断を行って診断されます。特に似たような症状をとるメニエール病や、聴神経腫瘍との鑑別が大事です。幸いなことに聴神経腫瘍はMRI検査を行うことで早期に発見できます。発症後すぐ治療を受けないと、難聴や頑固な耳鳴りが残ったり、ひどい場合には聴力を失ったりすることもあるため、早めの受診と治療開始が大切です。

突発性難聴の治療は、内服や点滴の副腎皮質ステロイド薬による薬物療法が中心になります。また、血管拡張薬(プロスタグランジンE1製剤)やビタミンB12製剤、代謝促進薬(ATP製剤)などを使うこともあります。ストレスの影響が考えられるときは、安静にして過ごします。難聴の程度が重いときや 治療後も十分に回復しない場合、ステロイドの全身投与が難しい場合は、耳の中にステロイドを注入する「ステロイド鼓室内注入療法」や酸素不足になったコルチ器に充分な酸素を供給することで、突発性難聴の症状を改善させる効果があると考えられている「高気圧酸素療法*」などが行われますが、これらの治療は、それが可能な施設が限られているのが現状です。

*高気圧酸素治療は高気圧酸素療法装置というカプセル型の装置に入っていただき行う治療です。高気圧酸素療法装置で装置内の気圧を2気圧(水深10mと同じぐらいの気圧)まであげた状態で、純度の高い酸素を吸入し、体内の酸素濃度を上昇させます。気圧を上げた状態で純度の高い酸素を吸入することで、より効率的に血液内の酸素濃度が高まり、酸素のいきわたりにくい細い血管などの低酸素状態を改善します。高気圧酸素治療で体内に取り込まれる酸素は、通常の約15倍-20倍と言われています。(堀病院HP (hori.or.jp)から)

突発性難聴の治療効果ですが、発症後1週間以内に適切な治療法を受けることで、約40%の人は完治し、50%の人にはなんらかの改善がみられます。ただし、治療開始が遅れれば遅れるほど治療効果が下がり、完治が難しくなってしまうので、注意が必要です。特に、めまいを伴った突発性難聴は治療の効果が悪いため、早期の治療がなおさら大事です。突発性難聴に関連した後遺症は非常に不快なものです。耳鳴りが残ると頭のなかで常に音が鳴るため生活の質にも影響しますし、めまいやふらつきが残れば日常生活にも支障をきたします。

幸いなことに、堀病院では、「高気圧酸素療法」を含めた治療のすべてに対応できる数少ない病院であり、遠方から高気圧酸素療法を目的に当院を受診される方も多数いらっしゃいます。

 

あなたは大丈夫? めまいを伴う突発性難聴のチェックテストです。

【チェックテスト】

□ある日突然、めまいが起こった

□めまいは今回のみで、1回しかない

□急に耳鳴りや耳のつまりを感じる

□急に片方の耳の聞こえが悪くなった

□大きなストレスや疲労を感じることがあった

 

いかがでしたか? すべての項目に当てはまれば、めまいを伴う突発性難聴かもしれません。ぜひ、堀病院を受診してみてください。

 

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