HOME > 堀病院めまいセンター開設初年度(2023年度)1年間の診療報告 : 2024.4.25

堀病院めまいセンター開設初年度(2023年度)1年間の診療報告

堀病院めまいセンター開設初年度(2023年度)1年間の診療報告

医療法人 徹慈会 堀病院 めまいセンター長

工田 昌也

 

おかげさまで、2023年4月3日に『めまいセンター』を開設して、無事に1年間を終えることが出来ました。この間、病院、スタッフの皆さまの頑張りもあり、患者様の受け入れも順調に推移しており、感謝に堪えません。

開設後、1年間で3,250人(新規患者750人、再来患者 延べ2,500人)の患者様に来院いただきました。月別の患者数では新規患者数は60人前後で推移していますが、再来患者数は徐々に増加しております。

今のところ、センターの目標に掲げた病名診断率100%は達成されております。

新規患者様の年齢は9~99歳(平均57.2±18.4歳)、男性は12~99歳(平均58.4±18.2歳)、女性は9~97歳(平均56.7±18.4歳)で男性、女性ともに40~70歳代が中心で、70歳代が最多でした。

男女比では男性242人、女性508人で女性が男性の約2.1倍でした。

新規患者様の病名では、良性発作性頭位めまい症(BPPV)が235人(31.3%)と最も多く、めまいの代表とされるメニエール病96人(12.8%)、前庭性片頭痛42人(5.6%)、前庭神経炎14人(1.9%)でした。これまでは、めまい症に分類されていた持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)58人(7.7%)、心因性めまい62人(8.3%)と以外に多いことがわかります。そのほか、耳以外の原因では、脳循環不全67人(8.9%)、椎骨脳底動脈循環不全14人(1.9%)、起立性調節障害71人(9.5%)などでした。特殊なものとして、脳梗塞や出血が明らかになった人が4人、小脳炎が3人、聴神経腫瘍が2人いらっしゃいました。

平衡機能検査ですが、重心動揺検査は1年間で1399回、VEMP155回、めまいセンター開設時に導入された、vHIT、OKN・ETTについてはそれぞれ180回、200回施行されていました。これらはひとえに言語聴覚士の皆さんの頑張りによるものと思っております。

 

OKN,ETT

vHIT

VEMP

重心動揺検査

137

94

85

932

63

86

70

467

200

180

155

1399

 

来院のきっかけですが、最多は、以前に当病院にかかったことがあるのが34%と最多で、次にネットやホームページを見た(21%)、知人、家族の紹介など(15%)で、特殊なきっかけでは4月下旬に発行されたリビング福山を見てという方々が5月、6月に多くいらっしゃいました。うれしいことに、他医療機関からの紹介は23%で、中でも耳鼻科以外の内科の先生方からの紹介が多くなってきています。

『めまいセンター』では、めまいを正しく診断し、患者様と二人三脚で一緒にめまいを治していくことを目指しております。それに加えて、診療の実態を皆様にこうして報告するとともに、めまいセンターで得られた知見を積極的に学会でも発表するようにしています。2023年度は、第82回日本めまい平衡医学会で、広島市立大学の常盤達司先生との共同研究を報告しました。またこの4月20日には広島県耳鼻咽喉科総会で、めまいセンターの診療報告を発表しました。2024年度においても、これまで同様、病名診断率100%を維持するだけでなく、すべての患者様のめまいが治るよう、『正しい診断、適切な治療でめまいは治る』を目標に頑張っていきますので、『めまいセンター』をこれからもどうぞよろしくお願いいたします。

学会発表

○常盤 達司、工田 昌也:複数の指向性スピーカから呈示された音が健常成人の重心動揺に及ぼす効果. 第82回日本めまい平衡医学会 10月、2023年、新潟

〇工田 昌也、河野 達也、石川 修司、平木 信明、宇髙 毅:堀病院めまいセンター開設1年間の診療報告. 日耳鼻広島県地方部会総会 4月、2024年、広島 

 

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